顔の見た目は変わらないのに、昔に比べて体重は重くなったし、お腹が前に突っ張ってきた…という人はいませんか?
もしかしたらそれ、内臓脂肪の蓄積が原因かもしれません。
今回は、内臓脂肪と皮下脂肪の違いをはじめ、内臓脂肪が増えるリスク、また内臓脂肪を減らす生活習慣の改善ポイントもあわせて紹介します。
「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の違いは?
そもそも人間の体脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があります。
2つの大きな違いは、脂肪が蓄積される場所。
皮下脂肪は、皮膚の下に蓄積される脂肪のことで、内臓脂肪は内臓周りに蓄積される脂肪のことを指します。
また、内臓脂肪は摂取したエネルギーを一時的に貯蔵する働きを持っています。そのため、皮下脂肪よりも短期間で蓄積したり消費されやすかったりと、“溜まりやすく減りやすい”という特徴があります。
特に加齢にともない内臓脂肪を蓄積しやすい中年男性がダイエットに取り組む際は、体重の増減に意識を向けるよりも体脂肪率の上がり下がり、そして皮下脂肪よりも内臓脂肪を減らすことに重きを置くと良いでしょう。
内臓脂肪が増えるリスクは?
内臓脂肪が増えていくと、脂肪細胞から分泌される“アディポサイトカイン”と呼ばれる様々な物質の分泌異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加したりインシュリンの効きが悪くなったりすることで、「高血圧」や「高脂血症」「高血糖」を引き起こしやすくなります。
これらの状態は、本人に自覚症状がないにもかかわらず、動脈硬化を引き起こし、結果的に心筋梗塞や脳梗塞など死につながる疾患のリスクを高めます。
つまり内臓脂肪を溜めることは、単にポッコリお腹のだらしない体型を招くだけでなく、カラダの健康面に異常をきたす恐れがあるというわけです。
女性=皮下脂肪、男性=内臓脂肪がつきやすいワケ
皮下脂肪は女性に、内臓脂肪は男性につきやすいという話を聞いたことはありませんか? 実はこれ事実です。
性別によって脂肪のつき方が異なるのは、女性ホルモンの量が関係しています。もともと女性ホルモンの量が多い女性の場合、妊娠・出産を控え、カラダにエネルギーを溜め込もうとする働きがあります。その際に必要なエネルギーが皮下脂肪。すぐに消費される内臓脂肪よりも、皮下脂肪の方が長く貯蔵できて効率が良いからなのです。
また、女性の方が下半身やお腹まわりに皮下脂肪がつきやすい理由も、内臓や骨盤を守るためとされています。
実際のデータでは、男性の肥満は年齢に関係なく9割は内臓脂肪型とされている一方で、女性の場合40代くらいまでは皮下脂肪の割合の方が多く、妊娠・出産の適齢期を超えて更年期になるにつれ、徐々に内臓脂肪の割合が増えていくとされています。
このように男女の違い、それぞれの傾向からみても、男性の場合は皮下脂肪ではなく内臓脂肪を減らすことに意識を向けるべきということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。
内臓脂肪のセルフチェックリスト8つ
では、実際に今の自分に内臓脂肪が溜まっているのかどうかチェックしていきましょう。
下記のチェックリスト8つは、内臓脂肪が溜まりやすい人の特徴です。
当てはまるチェック項目数が多ければ多いほど、内臓脂肪を溜めている可能性が高いということになります。
【1】食生活が不規則になっている
朝食を抜いたり深夜遅い時間に間食したり、食生活のリズムが不規則な人、またコンビニ飯や外食が多く栄養バランスが偏っている人は、内臓脂肪を溜め込む直接的な原因になります。
【2】つい食べ過ぎてしまう
朝食を抜いて昼にドカ食いしたり、美味しいオカズに何杯もご飯をおかわりしたりと、カロリー摂取の過多は内臓脂肪の蓄積に直結します。
【3】早食いがクセになっている
噛む回数が少なかったり、しっかり噛まずに飲み込んだりといった早食いの行為は、食事量の増加を招きやすく、また消化不良につながり内臓脂肪を溜めやすくなります。
【4】甘いお菓子や飲み物が大好き
チョコレートやスナック菓子、甘い炭酸飲料は、糖質の摂取過多によって内臓脂肪を貯えやすくなります。
【5】昔に比べて体重が増加傾向にある
若い頃に比べて体重が増えてきている人は要注意。その体重増加は内臓脂肪の可能性が高いでしょう。
【6】普段ほとんど運動をしていない
運動不足は、エネルギー消費量を減らしたり、代謝が落ちて脂肪が蓄積しやすくなったりします。
【7】お酒を飲むと止まらなくなる
アルコールの摂取は、食欲を増幅させたりしょっぱいものが食べたくなったりするほか肝臓にも悪影響を及ぼし、内臓脂肪を溜め込みやすくなります。毎日の晩酌程度は問題ありませんが、1回あたりの飲酒が長時間になりがちな人は注意しましょう。
【8】親や兄弟(姉妹)に生活習慣病の人がいる
肥満の原因は毎日の生活習慣がほとんどですが、遺伝の影響がないわけではありません。家族のなかに糖尿病や高血圧など生活習慣病の人がいる方は、特に要注意でしょう。
内臓脂肪を減らす方法とは?
ここからは、内臓脂肪を減らす生活習慣の改善ポイントを紹介します。普段の生活状況と対比して見直しを検討しましょう。
(1)有酸素運動を行う
内臓脂肪を落とすうえで最も効果的なトレーニング方法は、やはり「有酸素運動」です。有酸素運動は酸素を使い脂肪を燃焼させてエネルギーを生み出す運動のことで、主に「ウォーキング」「ジョギング」「ランニング」「水泳」「サイクリング」などが代表的な有酸素運動として挙げられます。
内臓脂肪を減らしたいのであれば、有酸素運動でカラダを動かす機会を積極的に増やしていきましょう。
そして、1回あたりの運動量は短時間で構いませんので、そのぶん毎日継続できるよう日々の生活習慣にルーティンとして組み込むことが大切です。運動の実施時間は、1回あたり20分以上を目安にすると効果的に脂肪を燃焼させることができるでしょう。
取り組む有酸素運動の種目は何でも構いませんが、トレーニングに慣れてきたら実施時間を伸ばしたり、動作スピードを早めたりするなど、強度を強めていくとより脂肪燃焼の効果が高まります。
また、運動の実施時間がとれない…という人は、日常生活の中で意識的に歩く頻度・量を増やすことを心がけましょう。散歩や階段の昇り降りも立派な有酸素運動の一つですので、内臓脂肪の蓄積を防ぎ、そぎ落とす効果が期待できます。
(2)ジッとしている時もドローイン
運動する時間がない…という人にオススメの対策方法が、“ながら運動”として生活習慣に取り込みやすい「ドローイン」の実施です。
ドローインとは、お腹をへこませる動作を用いたエクササイズのことで、お腹の深部にある“腹横筋(ふくちょくきん)”を鍛えることができます。
この腹横筋は、コルセットのようにお腹まわりをぐるっと覆っている筋肉のことで、腹横筋を鍛えることで腹圧を高め、姿勢や内臓の位置を安定させる働きが期待できます。
また、ドローインの魅力はどこでも簡単に実践できるという点です。
ただお腹をへこますように力を入れるだけですので、自宅に限らず、勉強中や仕事中・電車の移動中など、誰にも気づかれずにこっそりトレーニングできる点がドローインのメリットといえるでしょう。
さらにドローインは、お腹の深部にある腹横筋を意識して動かすため、内臓脂肪を減らすだけでなく、お腹の引き締め効果も期待できる、まさに一石二鳥のエクササイズといえます。ポッコリお腹が気になる男性は、毎日の生活習慣にお腹をへこませるドローインを積極的に取り入れていきましょう。
(3)食事の仕方を見直す
食事の量を減らすためには、食事中の「食べ方」を見直すことが重要です。
忙しい男性がついやりがちな早食いは、脳の満腹中枢が働いてくる前にどんどん食べてしまうため、“大食い=食べ過ぎ”につながりやすいのです。
また、早食いの行為は血糖値の上昇を早め、血糖値を抑制するためのホルモン“インスリン”が短時間のうちに分泌されることになります。
これによって膵臓(すいぞう)に負担がかかり、インスリンの分泌量が減少し血糖値のコントロールができなくなっていき、結果的に内臓脂肪の蓄積や肥満を招く原因になるのです。
大食いを避けたいのであれば、毎日の食事はゆっくりよく噛んで食べることを意識しましょう。よく噛むクセを身につけることによって、脳内の満腹中枢が刺激され暴飲暴食などの食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。
ちなみに、この満腹中枢が刺激されるまでの時間は、約15分。大食いを改善するためには、1回の食事あたり最低でも15分以上かけ、ゆっくりよく噛んで食べることが大切です。
もちろん、食べ方だけではなく食事の内容も重要。
糖質や脂質が多い食べ物よりも、タンパク質が多く含まれている食品を中心とした食事のメニュー設計を心がけましょう。
(4)お酒の摂取量を減らす
アルコールのお酒を過剰に摂取する行為は、内臓脂肪を蓄積させる原因の一つにつながります。
アルコール自体は、すぐに消費されるエネルギーだから問題ないという人もいるかもしれませんね。たしかに、アルコールのカロリーは食べ物のカロリーとは少し異なり、アルコールに含まれるカロリーがそのままカラダに蓄積されることはほとんどなく、このカロリーが日常生活を過ごすうえで役に立つことも基本的にありません。
だからといって、お酒をガブガブと飲み過ぎても支障はないかと言えばそうではありません。アルコールの過剰摂取による影響は他にあるのです。
飲酒中は、普段の食事中に比べてつい食欲が増したり、しょっぱいものが食べたくなったりという経験が皆さんも一度くらいはあるのではないでしょうか。
それ以外にも、アルコール分のカロリーを消費している間は、食べ物から摂取したカロリーが消費されず体内に溜まってしまうなど、内臓脂肪の蓄積に大きな影響を与えているのです。
内臓脂肪を減らすなら、毎日の飲酒量はほどほどに留めておきましょう。
内臓脂肪を落とそう
内臓脂肪の蓄積は、単にだらしない見た目だけでなく、皆さんが想像する以上に健康へ大きな悪影響を及ぼします。
ただし、きちんと対策を行えば皮下脂肪よりも先に内臓脂肪は落ちていきます。
お腹の突っ張りが気になりだした男性は、今すぐ内臓脂肪を減らす生活習慣を取り入れてみましょう。